中国に屈服のサッカー連盟ー「チャイニーズタイペイ」呼称問題で台湾人を悪役に : 台湾は日本の生命線!

投稿日 :2016年7月5日

中国に屈服のサッカー連盟ー「チャイニーズタイペイ」呼称問題で台湾人を悪役に
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2016/07/05/Tue


■国家主権の自己否定に繋がる「チャイニーズタイペイ」の呼称  

台湾の高雄で六月二日、アジアサッカー連盟(AFC)主催のアジアカップ2019プレーオフ、チャイニーズタイペイーカンボジア戦が行われた。

この「チャイニーズタイペイ」(中華台北)とは言うまでもなく「台湾」を指す。

「一つの中国」を掲げる中国が、「二つの中国」を意味させる「中華民国」や、「一つの中国・一つの台湾」「台湾独立」を意味する「台湾」といった呼称を断じて許容しないため、国際オリンピック委員会(IOC)や国際競技連盟(IF)は、台湾代表には「中国領台北」の名義でなければ国際試合への参加を許さないのである。

しかしこれでは台湾は、世界から国家主権の自己否定と受け取られかねない。実際に「チャイニーズタイペイ」が正式な地域名だとの誤解が世界に広がっている。

心ある台湾人なら、それだけは何としても阻止したいところだろう。

そこでその日、台湾独立運動グループのメンバー数名が観客席で「台湾は台湾だ」「台湾はチャイニーズタイペイではない」「台湾チーム頑張れ」と書かれた横断幕や緑の台湾独立旗を掲げて応援した。

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「台湾は台湾!チャイニーズタイペイではない!」。少数ながらも台湾での国際試合会場でアピールを続ける人々。その地道な活動は一部マスメディアに逐一取り上げられるなど、広く支持されている


■「チャイニーズタイペイではない」との叫びを取り締まり

これであればテレビ中継を通じ、「台湾は台湾。チャイニースタイペイではない」との真実の訴えを内外に届けることができる。

その日も中継でしっかりと映し出された。彼らはいつも、こうした有効な戦法を用いるのである。

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テレビ画面に映った旗や横断幕。世界がこれを見ることになる

ところがこうした台湾人の活動を苦々しく思ってきたのが、試合を監督するマッチコミッショナーだ。

すでに二〇一五年から、「差別的、宗教的、政治的なスローガンを掲げさせてはならない」とチャイニースタイペイサッカー連盟(CTFA)に求めて来たそうだ。しかしCTFAはメディアや世論の反撥も恐れ、有効に対処できずに来た。

そこで今回、それに業を煮やしたパキスタン人のマッチコミッショナーがAFCに状況を報告。AFC規律委員会はCTFAに対して五千ドルの罰金を課したのだった。

しかし台湾人の訴えのいったいどこがどのように差別的で宗教的で政治的だと言うのか。

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「サポーターの掲げた台湾旗のために16万元の罰金が」と報じる台湾のニュース画面


■スペインのサッカー界でも「独立旗」争議が

一方、スペインでもサッカーに絡む「独立旗」争議が。

五月二十二日、マドリードでサッカースペイン国王杯の決勝が行われ、カタルーニャ州バルセロナを本拠地とするFCバルセロナが優勝を果たしたのだが、それに先立つ十八日、マドリード当局は同チームのサポーターが好むアスタラ―ダ(スペインからのカタルーニャ独立を目指す勢力の旗)の持ち込みを禁じる通達を出したのだ。

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スペインではFCバルセロナのサポーターがカタルーニャ独立旗を好んで用い、それが争議を呼んで来たが

「暴力行為を誘発する」、「参加者を侮辱する」と看做される旗などの使用を禁じる規則に違反するとの理由でだ。

これに対してFCバルセロナは、「世界人権宣言で認められる表現の自由への攻撃だ」と反論したのだが…。

結局、通達は覆された。裁判所が「アスタラーダを振ることで暴力や人種差別を誘発したことはない」と裁定したためだ。

そこで再び、台湾の問題に話を戻そう。AFCの措置は台湾人の表現の自由を損ねてはいないだろうか。


■アジアサッカー協会は台湾人の自由を蹂躙するな

スペインでは優れて政治的なカタルーニャ独立旗の海が試合会場に現出するのを許したが、AFCはたかだか数旒の台湾独立旗をここまで問題視したのか。

ここでAFCに聞かなくてはならないのは、「台湾は台湾だ」と訴えることのどれが人種差別に当たるのかということだ。

AFCは「スポーツに政治を持ち込むな」と言いたいようだが、「台湾は台湾だ」「台湾はチャイニーズタイペイではない」との訴えが排斥すべき政治的主張であるというなら、各国がそれぞれの存在をアピールする国旗の掲揚や持ち込みも禁じるべきである。

スペインでの決勝戦では、現地のテレビ局は努めてアスタラーダを映さないようにしたそうだ。それはそれで理解はできる。スペイン人には自国内の分離独立主義者の宣伝に加担しない自由もあるからだ。

しかしAFCには今回のような台湾人の自国応援の表現を規制し、あるいは禁止する権利などないはずだ。


■「チャイニーズタイペイ」の呼称こそ政治的だ

ここまで不当に台湾人の行動を問題視するのは明らかに、中国からの台湾の分離独立を警戒する中国への配慮だが、しかし中国からの台湾独立という問題は存在しない。なぜなら台湾は中国に支配されていないからだ(「台湾独立」とは中華民国体制から脱却のこと)。

「台湾は中国の一部。台湾の独立分離の動きは許さぬ」とは、中国が台湾併呑を正当化するために展開する虚構の政治宣伝に過ぎないわけだが、そうしたものにAFCは加担しているのである。それだけで充分なまでに、汚れた政治活動ということができよう。

そもそも「チャイニーズタイペイ」なる呼称こそが、中国の政治宣伝の産物なのだ。

そうした虚構に危機感を抱いた台湾人が、表現の自由を行使して「台湾は台湾だ」と訴えたからといって、それを取り締まろうと試みたAFCは、完全なる中国の政治的奴隷ではないか。

今回の過剰反応とも言えるAFCの裁定は、中国の圧力を受けたものか、あるいは圧力を恐れて下したものなのだろう。そもそも「チャイニーズタイペイ」は、国際オリンピック委員会や国際競技連盟が中国の政治的圧力に屈服して台湾側に押し付けるものなのだから。

どこの国でもそうらしいが、どうも中国に迎合する人間は、台湾を見下す傾向がある。実はそれが大に仕えて小をいじめたくなる典型的な時代主義心理というものなのだ。

そこでみなで「チャイニーズタイペイ」の呼称を巡る国際スポーツ界の反応は注視すべきだ。中国の政治的影響を受ける不条理な闇の部分が見えてくると思う。

なお、AFCがCTFAに下した処分には、もちろん台湾国内では不満の声が高まった。

たとえば六月十五日には台南市議会の李文正、蔡旺詮議員らが記者会見を開き、次のように論じた。

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台南市議員らが「台湾人の人権の侵害だ」とAFCを非難の記者会見を

「自分たちの国で“台湾は台湾だ”と書いた応援の横断幕や台湾旗を広げたら罰金だとは。これは台湾人の人権や言論の自由の重大な侵害だ」

「台湾政府はもっと強く出なければ、中国はどんどん図に乗って攻勢をかけ、台湾は取り返しのつかないことになるだろう。中国に対抗し、台湾の生存空間を確保するため、来年の台北での夏季ユニバーシアードでは、みなで“台湾”のために声を上げたい」

日本人は、こうした台湾人の訴えを支持すべきか、それともAFCに代表される中国への政治的協力者を支持すべきか。