パラリンピックに思う台湾の屈辱―各国は中国の横暴をなぜ許す : 台湾は日本の生命線!

投稿日 :2016年9月16日

パラリンピックに思う台湾の屈辱―各国は中国の横暴をなぜ許す : 台湾は日本の生命線!
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2016/09/12/Mon

二〇二〇年の東京五輪では「チャイニーズタイペイ」(中国領台北)ではなく「台湾」の名で台湾選手団を迎えようと訴える我々日本人の「台湾2020東京」アクション。そこで推進しているネット署名に対する台湾人の呼応が今までになく急増している。


パラリンピックの開会式での台湾選手団堂々の入場。しかし残念ながら「台湾」ではなく「中国領台北」(チャイニーズタイペイ)の名でだった

それはリオデジャネイロ五輪閉幕の直後からだ。その会期中に自国だけが虚構の名称を押し付けられる不条理な現状を目の当たりにしたためだろう。

かくて台湾ではこの署名活動に脚光があたり、日本人からも「台湾」への正名を支持する声が上がっていることが話題になった。

そして行政院(内閣に相当)もこれに言及している。八月二十九日付の自由時報によれば、同院の童振源報道官は次のようなコメントを出している。


日本での我々の署名活動を報じた自由時報(電子版)の記事。台湾行政院が感謝のコメントを出したと。しかしそこにはまた・・・

「この問題に日本の方々が関心を寄せてくれたことに感謝する。東京五輪は国際的な大イベント。台湾は必ず全力を挙げて参加する」と。

ただ、こうも付け加えた。

「参加の際の名称はIOCのルールに従う」

IOCのルールに従うとなれば、「チャイニーズタイペイ」の名を受け入れ続けるということか。

何かに付け中国の意向に迎合し、自分たち自身も「チャイナ」の名を好む国民党政権であならともかく、台湾本土派である今の民進党政権まで、こんな有害な呼称を好しとしているのだろうか。

もちろん本音は違うだろう。もしその通りなら、日本人の「台湾」支持に感謝表明などしていまい。

要するに台湾の政権としては、それに甘んじざるを得ない状況なのだ。

そもそも「チャイニーズタイペイ」の呼称の押し付けは、中国がIOCに圧力を掛けた結果であり、もし台湾がそれを拒否すれば、IOCから追放されかねない。いやそこまで至る以前に中国がヒステリックな反応を示し、各国に紛糾や混乱を与えることとなるだろう。

台湾はただでさえ「世界の孤児」。「トラブルメーカー」の烙印まで押され、各国から嫌われては生存の確保すら難しくなるとの判断で、自らの尊厳をも犠牲にしなければならないのである。

したがって行政院の「IOCのルールに従う」との表明は、屈辱に耐えながらにものと受け止めるべきではないかと思うのだ。

そのようなことを考えながら私は九月八日、NHKのテレビ中継でリオデジャネイロ・パラリンピックの開会式を見た。

台湾選手団はリオ五輪の時と同様に「チャイニーズタイペイ」とのアナウンスの下、「TAIPÉ CHINESA」(チャイニーズタイペイの現地語)と書かれたプレートに先導されて入場。応援したい気持ちは山々だが、拍手を送ろうという気にはならなかったのである。

NHKのアナウンサーも「チャイニーズタイペイ。台湾です」と彼らを紹介。

蛇足だ。「台湾です」だけで充分だろう。

NHKは地名のつもりで「チャイニーズタイペイ」と紹介したのなら、「そのような地名は存在しない」と指摘したい。「ただIOCルールに従っただけだ」というなら、「NHKにはそうする義務はない」と教えたい。いずれにせよ、「中国領台北」という虚構の政治宣伝用語を視聴者の前で口にするべきではなかった。

さて、行政院の「参加の際の名称はIOCのルールに従う」との発言だが、「もしIOCが『台湾』の名を許すようになれば、それに従う」との意味にも受け取ることができよう。

だがIOCのルールを変えるためには、日本を含む各国が政治的な差別を禁じるIOC精神に立ち返り、中国の横暴に怯むことなく、「台湾は台湾。中国の一部ではない」との声を上げる以外にないのである。

先ずは日本が東京五輪に向け正義と勇気を取り戻すべきだ。

「台湾2020東京」アクションの願いはそこにあるのである。