「東京オリンピック・パラリンピックでの台湾選手団の呼称に関する意見書」埼玉県議会で拒否される

投稿日 :2017年7月13日

台湾は日本の生命線!より、報告です。


人権より中国優先!埼玉県議会で曝された自民議員の堕落ぶり : 台湾は日本の生命線!
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2017/07/07/Fri

四年に一度のオリンピック、パラリンピックにおいて台湾に対する不当な差別が公然と行われていることを、これまで世界がほとんど問題にしてこなかったのはなぜだろうか。

「台湾への差別」とは、中国の政治的圧力に屈した国際オリンピック委員会(IOC)が、台湾選手団に「チャーニーズタイペイ」(中国領台北)なる偽りの名を押し付けられていることだ。

台湾だけが「台湾」「中華民国」など、自らの名を名乗ることを許さず、そればかりか台湾侵略を目論む中国の「一つの中国」宣伝に基づく呼称を強要させるのだから、これが台湾人に対する差別、人権侵害でなくて何だろう。中国の政治プロパガンダのスポーツへの持ち込みでなくて何かというわけだ。

こうした状況を目の当たりにし、義憤に駆られた一人が、埼玉県議会の鈴木正人議員だ。鈴木氏が代表を務める保守系会派「無所属県民会議」は七月五日、来る東京オリンピック、パラリンピックにおいて、「チャイニーズ・タイペイ」の名を「台湾」に改めるよう関係機関に求めるとする意見書案を提出したのである。

埼玉県議会の鈴木正人議員のページ

ところが異変が生じる。何とこの文案は、議会運営委員会での調整の段階で、議席の過半数を握る自民党の意向によって弾かれてしまったのだ。

いったい、いかなる理由で却下されたのか。

先ずは意見書案全文を下で見てみたい。この内容のどこに問題があるというのか。


「東京オリンピック・パラリンピックでの台湾選手団の呼称に関する意見書」(案)

 現在、オリンピックにおいて、台湾代表選手団は「チャイニーズタイペイ」(中国領台北の意)の名での参加を余儀なくされている。
 しかし、そのような国・地名は存在せず、台湾を中華人民共和国(以下、中国)の領土と断じるのは、台湾を併合するための中国の政治的意図に基づいており、その呼称を使用することはスポーツへの政治の持ち込みに等しい。
 その呼称の使用は、あたかも台湾が中国領土であり、その住民は中国国民であるとの誤った印象、認識を世界に広げることに繋がり、台湾人民の尊厳と人権を著しく侵害するものである。これは「政治的理由による差別」を禁じるオリンピック憲章にも違反している。
 また、1964年に行われた東京オリンピックにおいて、台湾代表選手団は「中華民国:Taiwan」の呼称で出場していることも考慮すべき事実である。
 よって、東京2020年オリンピック・パラリンピックを、世界に誇れる真の「平和の祭典」にするため、台湾選手団を「チャイニーズタイペイ」ではなく、正しく「台湾」と呼称するよう関係機関に強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

埼玉県議会議長

内閣総理大臣
内閣官房長官
東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣 宛


埼玉県議会で握りつぶされた意見書。もちろん問題は意見書の内容ではなく、これを潰した議会内の勢力にある


以上のように、日本で開催される競技会の場で、国際社会の不条理さを糾したいとする正義感に基づいた内容だ。心ある者がこれを読めば、「その通りだ」と大きく頷こう。しかしこれを、自民党は握り潰したのである。
その理由として、次のような二点が示されている。

・IOCでは、チャイニーズタイペイが認められている呼称だ。

・日中関係に配慮すべきだ。

これは驚くべきことである。実は六月二十日には、新潟県柏崎市議会がこれと同趣旨の意見書を全会一致で可決している。なぜなら「台湾人の人権は守られるべきだ」との考えで一致したからだが、それに対して埼玉県議会では、自民党が台湾人の人権より、中国との付き合いを優先させたというわけだ。

日本で行われるオリンピックが台湾を侮辱する中国の政治宣伝の舞台になっても、埼玉の議員はレベル低き田舎者ゆえ何ら痛痒も感じないのかと、埼玉県民である私は痛嘆に堪えぬのである。

たしかに安倍晋三総裁は確たる国家観念の持ち主と目されているが、しかし同じ自民党でも埼玉県議の場合は「威張っているだけで国家観などないのが多い」と、事情通から聞かされたことがある。

中国覇権主義への反撥が高まる今日においても、「日中友好」を金科玉条とするのが自民党県議たちだ。五十三人中、主流派の全てを含む二十五人もが日中友好議連に加盟している。

彼らは「中国との友好を唱えていれば、何らかの利権のおこぼれに与れるのではないかと期待している」(前出の事情通)とされるが、まさにそうした愚昧な議員たちが愚昧であるがゆえに、可決して当然と言える意見書を却下してしまった模様だ。

これまで世界が台湾差別を見て見ぬふりをしてきたのも、こうした中国迎合の風潮のために他ならない。こうした状況は、かつてナチスドイツの領土拡張を見て見ぬふりをした英国の宥和政策を彷彿とさせるものがあるといっても、自民の田舎者たちには何のことか理解できまい。

ただここで注目すべきは、鈴木氏らが見せたような台湾支持の正義の行動は、まさに今回の如く、しばしば中国迎合の堕落勢力をあぶり出すということだ。

自民党が恥も外聞もなく「日中関係に配慮すべき」などと口にしてしまったのは、それほど反対表明で必死だったということではないのか。あとで中国に叱られるのを恐れるあまり、形振りなどに構ってなどいられなかったというなら嘆かわしい限りだ。

もしこの連中さえしっかりしていれば、今回の意見書など難なく可決され、今ごろは全国、いや中国を含む世界に向け、ここ埼玉県から「日本の正義感」が発信されているはずなのだが、全く逆に「日本の恥」を曝す格好となってしまったのが残念である。