五輪組織委、チャイニーズ・タイペイ表記は「IOCに準拠」 台湾では批判も:SANSPO.COM(サンスポ)他

投稿日 :2019年2月15日

※東京オリンピックのチケット販売サイトで、「台湾省/中華民国」から「チャイニーズタイペイ」表記に変更された件について。

TOKYO 2020 ID チケット申込事前登録キャンペーン│東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
https://tokyo2020.org/jp/special/2020id/


五輪組織委、チャイニーズ・タイペイ表記は「IOCに準拠」 台湾では批判も:SANSPO.COM(サンスポ)
https://www.sanspo.com/sports/news/20190215/oly19021516130004-n1.html
2019.2.15 16:13

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は15日、入場券購入に必要なIDの登録サイトで、申込者の国・地域選択欄の台湾を「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」と表記していることについて「国際オリンピック委員会(IOC)の表記に準拠している」との立場を示した。台湾ではインターネット上などで表記に関して批判する意見が出ていた。

 五輪で台湾は中華台北で表記される。昨年11月には東京五輪に「台湾」の名で参加申請することの是非を問う住民投票が行われたが、反対多数で成立しなかった。


台湾差別を止めろ!森喜朗・東京五輪組織委会長に訴える:台湾は日本の生命線!
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3357.html
2019/02/13/Wed

台湾人に傲慢無礼!東京五輪組織委は中国の政治的圧力を屈したか(附:抗議呼びかけ):台湾は日本の生命線!
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3356.html
2019/02/12/Tue


東京五輪組織委は中国を恐れない?:台湾は日本の生命線!
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3353.html
2019/02/07/Thu

■「チャイニーズ・タイペイ」の呼称に徹するJOCと違い…

「台湾」の名が世界で通用し、「一つの中国」ではなく「一つの台湾、一つの中国」との現実が広く認識されるのを恐れてやまない中国。そしてこの覇権主義国家の圧力を受け、四年に一度の五輪競技大会で、台湾の選手団に「中国領台北」(チャイニーズ・タイペイ)の呼称を強要するのがIOC(国際五輪委員会)である。

そしてこの「チャイニーズ・タイペイ」だが、これは台湾の五輪委員会の名称(チャイニーズ・タイペイ五輪委員会=CTOC)であり、地名ではもちろんないのだが、しかしよほど中国に迎合したいのか、それを地名、国名代わりとしても用いるのが、二〇二〇年東京五輪の開催国であるこの日本のJOC(日本五輪委員会)だ。

そのHPでは、「台湾台北市」(台湾では“中華民国台北市”と呼んでいるが)を、「チャイニーズ・タイペイ台北市」と表記しているのだ。

言い変えれば「中華人民共和国領台北の台北市」となる。とんでもない偽りの地名だ。こんな嘘の散布は許されないし、台湾に対してもとても非礼だが、おそらくJOCは中国に要求に懸命に応えようとするあまり、良識を忘れてしまったのだろう。典型的な「媚中症候群」に陥っている。

そこで「台湾選手団はチャイニーズ・タイペイではなく台湾と呼ぼう」と訴える二〇二〇東京五輪台湾正名運動に加わる私は昨年、このJOCに電話で訂正を求めたのだが、相手にガチャリと切られ、そのまま通話拒否を設定されてしまったのだ。臭い物には蓋をしようという魂胆だろう。

そうした状況の中、興味深い話がある。そのJOCなどが東京五輪の開催のために設立した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」(組織委)が、台湾を何と呼んでいるかだ。これがJOCとは違うのである。

■台湾で話題になった東京五輪組織委の「中華民国」表記

東京五輪の観戦チケットを購入するには、組織委の公式サイトで「TOKYO 2020 ID」への事前登録を行い、抽選申し込みをしなければならないが、そのID登録のページにある「国」の名称の選択欄で台湾は、「台湾省/中華民国」となっているのだ。

(※ TOKYO2020ID 新規登録 https://id.tokyo2020.org/oidc/register.html)

「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「中華民国」とあるので、台湾ではニュースサイトの「ETtoday」が二月一日、これを話題にした。

すると今度は中国人も関心を持ったらしい。その翌日、米国の中国語ニュースサイト「看中国」もそれを引用して報じている。その記事の見出しが面白い。

「中国の圧力を恐れない?東京五輪公式サイトに“中華民国”と」というものだ。

JOCはあれほど中国に配慮しているのに、組織委は「中国を恐れない」のかと、私自身も意外に思った。

きっと中国は、これから文句を言ってくるのではないか。何しろ中華人民共和国は、「台湾」という“地域名”以上に、「中華民国」という“国名”が用いられるのを嫌がっている。

そんなことをしたら中国から「二つに中国」を作り出す陰謀だ、と怒られるということは、日本のマスメディアなどはよくわかっている。だから彼らは台湾を「台湾」とは呼んでも、「中華民国」の四文字だけは極力使用していない。それに対して組織委は、もしやそうした中国のおぞましき習性を知らないのだろうか。

いずれにせよ「中国を恐れない」のは好いことだ。そこで実際の事情を知りたく、また激励もした方がいいかとも思い、本二月七日、組織委公式サイトに載る電話番号に電話をかけてみた。すると「東京2020 チケットカスタマーセンター」というところに繋がった。

■中国は「チャイニーズ・タイペイ」への書き換えを要求するか

私は応対に出た女性職員に、「中華民国と表示されていますが、チャイニーズ・タイペイにしなくて好いのですか」と聞いてみた。

職員は一度電話口を離れ、上司と相談した様子で、こう回答した。「それ(中華民国)で登録をお願いします」と。つまり「チャイニーズ・タイペイ」に変更する考えはないということだ。

それで私は、「台湾はその国名を使用しており、間違いではないので、これからもこの表記を変えないで下さい」とお願いした。

なぜならそう私には、そろそろ中国から「チャイニーズ・タイペイ」や「中国台湾」などへの書き換え要求が来るだろうとの予感があるからだ。今は旧正月期間につき、中国人は連休を楽しんでいるが、それが明ければ動き出すのではないかと。あるいはJOCがこの件に気付き、慌てて書き換えを求めるかもしれない。

ところで私がこのようなことを書くと、台湾独立を支持する口うるさい人から、「『中華民国』の表記も許してはならない」と絡まれそうだ。

中華民国体制からの脱却を訴える台湾独立運動には私も長年挺身しているが、しかし日本で台湾正名などの運動を実際に進める上で、台湾の「中華人民共和国」扱いの阻止が最優先である場合、「中華民国」の呼称の当否問題など、必ずしも重要ではない時もあるのである。

組織委に「台湾に変えて」と求めるのは簡単だが、しかし今一番大切なのは、中国やJOCから不当な要求があった場合、組織委にはそれを拒否してもらうということだ。だから日本人にはややこしい「台湾か、中華民国か」という政治的な話をぶつけて混乱させ、こちら側に身構えられても困る訳で、今日のところはこんな感じだった次第である。

■もはや存在しない「台湾省」は削除するべきだ

ただこの「台湾省/中華民国」の表記には、事実に符合せず必ず改めるべき部分はある。それは「台湾省」という呼称だ。

たしかに中華民国は一九四五年、日本の敗戦で台湾を占領し、台湾本島と澎湖列島を台湾省と位置付けたが、現在台湾省は縮小され、面積ではその約半分。人口の約七割を擁する台北市、新北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市は台湾省に含まれていない。したがってID登録を求める台湾人の約七割は「台湾省」の住民ではないと考えた方がいい。

更に言えば、実は「台湾省」というものはもう存在していない。ちょうど二十年前、台湾省政府は機能を凍結されて名目上のものとなり、しかも昨年七月には全ての業務を停止しているのである。省政府の職員数は昨年末の段階で建物を管理する約十名のみ。今年からは予算もつかなくなる。

そこで私は組織委に電話した際、「台湾省は存在しません。削除して下さい」ともお願いしている。

向こうは「(上へ)そう伝えます」との返答だった。

それはともかく、今後「チャイニーズ・タイペイ」や「中国台湾」などへの誤った書き換えが行われ、ID登録を行う台湾の人々を侮辱するような事態になるのかどうか。日本の信頼にも関わる問題につき、見守りたい。