中国の宣伝は無力化できるー日本人は「チャイニーズタイペイ」(中華台北)の呼称拒否を : 台湾は日本の生命線!

投稿日 :2016年6月3日

中国の宣伝は無力化できるー日本人は「チャイニーズタイペイ」(中華台北)の呼称拒否を
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2016/06/03/Fri


■かくして台湾は「チャイニーズタイペイ」と呼ばれ

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「チャイニーズタイペイ」とは中国の台湾併呑を正当化うするための政治宣伝用語だ

中華人民共和国(中共)と台湾に亡命した中華民国(国府)という二つの「中国政権」が国際社会を舞台に中国代表の座(どちらが中国の正統政府か)を争っていた時代の話である。

中共は一九七一年、国連で国府から中国代表権を奪うや、中華民国の国家主権を否定し、国際機関などに対して国府追放の圧力を強めた。

国際オリンピック委員会(IOC)に対しても同様だった。傲慢にも、巨大人口を擁する中国に参加してもらいたいのなら国府=台湾を追放すべし、といった感じで迫り、IOCを困惑させた。その後中国は譲歩を見せ、中華人民共和国の一地域としての位置付けとするのを条件に、台湾の参加を容認した。

かくしてIOCは一九七九年、所謂「名古屋決議」を採択。これにより中共は「中国(Chinese)オリンピック委員会」の名義での参加が決まり、一方の国府は「中華民国(R.O.C)オリンピック委員会」を「チャイニーズタイペイ(Chinese Taipei)オリンピック委員会」の名で参加することが許された(中華民国の国旗、国歌の使用は禁止)。

国府はこれに不満で、オリンピック憲章が掲げる平等の原則に抵触するなどとして、IOC本部の所在地のローザンヌで提訴するなどしたが、翌年これらの条件を受け入れた。

「チャイニーズタイペイ」の漢訳の問題が残った。中国は「中国台北」を、国府は「中華台北」を主張したが、一九八九年の双方の協議を通じ、中共は「中華台北」の呼称を認めた。


■「チャイニーズタイペイ」は中国が強要する危険な呼称

その後台湾は、やはり中国の圧力によって、国際機関に参加する際も「チャイニーズタイペイ」の名義を強要されるようになった。一九九一年から参加のAPECではそうだし、二〇〇二年から参加のWTOでも略称は「チャイニーズタイペイ」だ(正式には「台湾、澎湖、金門、馬祖独立関税地域」)。

中国が中華民国との「国名」を許さないのはわかるとしても、なぜ「台湾」とは名乗らせないのか。

それはその名が世界に「一つの中国・一つの台湾」との現状を想起させるものだからだ。ことに台湾で民主化が始まった九〇年代以降、台湾と中国とは別個の存在であるとする台湾人意識の高まりもあり、「台湾」名義での国際社会の参与は「台湾独立」宣言に等しいなどと警戒しているようだ。

このようにして中国は「チャイニーズタイペイ」を強要するのである。

台湾ではもちろん、多くの人が「中華台北」より「台湾」の名で国際舞台に立つことを願っている。しかしその一方で、「中華台北」は「中華民国の台北」の略称だとの認識が広がり、それを違和感なく受け入れる人々も少なくないのだが、それはあまりに危険な誤解だ。

IOCにせよ国際機関にせよ、「中華民国」の存在は認めていない。そもそも英語名の「チャイニーズタイペイ」は「中国の台北」としか翻訳しようがない。国際社会で「中国」(チャイナ)と言えば、それは「中華人民共和国」でしかないのである。


■台湾新政権がWHO総会で傷つけられた国家の尊厳

台湾が念願のWHO総会へのオブザーバー参加が実現したのは二〇〇九年からだ。中国がWHOに台湾への招待状の送付を許したのは、前年に発足の馬英九総統の国民党政権が「一つの中国」原則を掲げたため、それへのご褒美としてだった。もちろん参加するにしても「チャイニーズタイペイ」の名義でである。

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中国にとりWHO総会も「一つの中国」の宣伝の場だ。台湾は「中国の台北」を名乗らされている

今年の総会は五月二十三日から。その三日前には蔡英文総統の民進党政権が発足しているが、こちらは「一つの中国」ではなく「一つの台湾・一つの中国」といった立場である。そこで同政権への招待状には、わざわざ「一つの中国の原則に従って招待する」などと書かれていた。

民進党政権は招待を拒否し難く、林奏延衛福部長(厚労相)が総会に出席。現地でのスピーチでは「チャイニーズタイペイ」と自称せざるを得なかった。まるで同政権が「一つの中国」原則を受け入れたかのような展開となった。中国の思惑通りである。

今回、「チャイニーズタイペイ」の名義を使用したことについて林全行政院長(首相)は、「不満だが無理をすれば受け入れられる。その名で国際機関に参与するというのが現実なのだ。国家の尊厳が守られることを希望する」と語っている。

しかし現状を見れば、「尊厳」は損なわれ行く一方である。


■騙されない者の前で中国の宣伝工作は無力

「チャイニーズタイペイ」の名は国際社会において、「中国の台湾」との印象を定着させるばかりだからだ。

しかしその一方で台湾国内では、「チャイニーズタイペイ」の呼称撲滅運動を民間有志が展開している。

最近では六月二日に台湾高雄で「チャイニーズタイペイ」とカンボジアが対戦したAFCアジアカップ2019のプレーオフの観客席で「台湾は台湾/台湾はチャイニーズタイペイではない」「台湾チーム頑張れ」地書かれた横断幕を広げ、国内外にアピールしている。

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台湾高雄で開催されたサッカーの対カンボジア戦の試合会場で「台湾」アピール活動

まだまだささやかな運動勢力ではあるが、横断幕はテレビ画面に映るのだから、戦術としてはとても有効だ。

これに全国の国民が呼応すればいいのだが。そして国際社会でも呼応の動きがあれば更に申し分ないだろう。

そこで日本人も呼応すべきだ。

何が「中国の台北」だろう。

中国のプロパガンダは、それに騙されない者の前では全く無力となる。日本及び日本人こそは世界に先駆け、そのような中国の宣伝工作に騙されない(あるいは迎合しない)国となり、民族となるべきではないのか。

何しろ日本と台湾は生命共同体であるのだから。それに東日本大震災、熊本地震などの時には、あの国からは親身になって心配してもらったわけであるし。

「チャイニーズタイペイではなく台湾と呼ぶべきだ」との認識を国民の間に広げていきたい。あるいは台湾のスポーツ代表が来日するたび、無邪気にも「チャイニーズタイペイ」と連呼するJOC、各競技連盟、マスメディア、地方自治体等々にも訴えていきたい。

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日本サッカー連盟のHPにはこのような記載が。「チャイニーズタイペイ」と呼んでいる内に、それを正式名称と思い込んでしまっている。スポーツ界にはよくあるケース。不見識のきわみだ

二〇二〇年には東京オリンピックが開催され、台湾代表も出場するのだ。その時までには中国の虚構宣伝に惑わされない日本の正しい台湾認識を確立させたい。