リオで深刻な台湾差別!―IOCは中国ベッタリ/2020東京はどうする? (附:台湾チャンネル関連報道動画) : 台湾は日本の生命線!

投稿日 :2016年8月13日

リオで深刻な台湾差別!―IOCは中国ベッタリ/2020東京はどうする? (附:台湾チャンネル関連報道動画) : 台湾は日本の生命線!
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2016/08/13/Sat

■台湾が好成績を上げるほど中国の宣伝に利用される  

リオ五輪での日本選手団のメダルラッシュで日本国内は大興奮だが、そういえば友邦台湾の選手はどうか。近年激増する台湾ファンには気になるところだ。

八月十二日の時点で、重量挙げ五十三キロで許淑浄が金、アーチェリーの女子団体で譚雅婷、雷千瑩、林詩嘉のチームが銀、重量挙げ女子五十八キロ級で郭婞淳が銅を獲得するなど奮闘中。こうした選手たちの活躍ぶりに、もちろん台湾国内は湧いている。

蔡英文総統は「皆さんの努力の感謝します。全台湾は皆さんを誇りとしています」とコメントした。

日頃、台湾侵略を企てる中国の圧力、妨害で国際社会で孤立を余儀なくされる台湾だけに、こうした五輪の舞台で存在をアピールできるのは実に喜ばしい。

ただその一方で、これで好いのかとの不安も拭えない。なぜなら台湾選手団は、「中華民国」との国名や「台湾」なる国際的通称ではなく、「中国領台北」(CHINESE TIPEI=チャイニーズタイペイ)という名義でしか五輪に参加できないからだ。

リオ五輪開会式で「中国領台北」の名で入場する台湾の選手団。この国だけが自分の名を口にするのを禁じられている

選手のユニフォームには「TPE」(タイペイ)、「CHINESE TIPEI」などと書かれ、たとえ金メダルを獲得しても、表彰式で上がるのは中華民国旗ではなく「チャイニ―ズタイペイ五輪委員会旗」なる味もそっけもない代替物で、流れるのも中華民国歌ではなく「チャイニ―ズタイペイ五輪委員会歌」。中華民国の「国旗歌」の替え歌ながら、ほとんど誰も歌うことのできない代物だ。

重量挙げ五十三キロで金を獲得した許淑浄。ユニフォームに「中国領台北」を意味する「TPE」と

国旗を掲げることも許されない台湾。代わりに「中国領台北」の旗が掲揚された

要するに、どんなに台湾選手が頑張っても、台湾の国威が高まるというより、中国の「一つの中国」(台湾は中国の領土の一部)という虚構宣伝が広まる仕組みだといった方が好いだろう。

これが台湾の悲哀である。選手たちはこうも簡単に自らの祖国を否定されるとは。このような不条理が許されていいのかだが、そうしたことすらほとんど問題にしないのが、日本をも含む国際社会の現状だ。


■中国の宣伝工作に従った「チャイニーズタイペイ」の呼称

五輪で台湾が自国名を名乗れないのはなぜか。

つまり「中国領台北」などと称して自ら国家主権を否定しなければ出場できないのはなぜかといえば、それは国際五輪委員会(IOC)がそう決めたからだ。それではなぜIOCはこのような不条理な振る舞いに出るかといえば、そこには中国の意思が働いているのである。

中国が二〇〇〇年に鳴り物入りで発表した台湾白書(「一つの中国原則と台湾問題」白書)には、あの国の狙いが公然と書き記されている。以下に見てみよう。

―――中国政府は「一つの中国」原則に則って台湾の対外交流に対応する。台湾当局は極力国際社会において、所謂「実務外交」を進め、所謂「国際生存空間」を広げようとするが、その実質は「二つの中国」「一つの中国、一つの台湾」を作り出すことにあり、中国は当然のことながら、これに断固反対する。

―――それと同時に(中略)中国政府は台湾と外国との民間性の経済、文化交流に対しては異議を持たず、「一つの中国」を前提に、多くの柔軟な措置を取り、台湾と外国との経済貿易、文化の往来に便宜を図っている。たとえば、台湾は「中国台北」の名で、引き続きIOCに留まることができるようになっているのが、それである。

要するにこういうことだ。

台湾に「中華民国」と名乗らせれば、「二つの中国」の存在が認められたこととなり、あるいは「台湾」と名乗らせれば、「一つの中国、一つの台湾」という現状が広く知られてしまう。そのため中国は、「一つの中国」、つまり台湾が中華人民共和国の一部であることを暗示するに足る「中国台北」(チャイニーズタイペイ)との名義以外は許さないとの圧力をIOCに掛けたのだ。


■リオ五輪会場で発生した中華民国旗の排除事件

この事実をIOCは否定できるだろうか。

米CNNは最近、「チャイニーズタイペイなどまったく存在しない国だ」と批判したが、そうした虚構を平然と台湾に押し付けるのがIOCだ。

中国の「一つの中国」という政治宣伝には忠実に従うが、政治的差別を禁じる五輪憲章を無視するのは厭わないのだから、もはやすっかり中国の影響下だ。

そこでそのことを示すリオ五輪での最新エピソードを紹介しよう。米国人男性クリス氏の話である。

台湾で英語教師を務め、あの国を熱愛するこの人物。台湾選手を応援しようとリオへ飛び、中華民国旗をあしらったシャツを着て観客席に現れ、大きな同旗を広げて声援を送った。

中華民国旗を掲げて台湾選手を応援するクリス氏。ところが主催者はこの善良なる観客に対し何をしたかだ

ところがこれを見た中国人記者の通報で大会スタッフがクリス氏の下へ飛んできて、撮影されない場所へ移動するよう求めた。もちろんクリス氏はそれを拒否。だがスタッフはなおも「台湾の旗のシャツは映せない」「非会員国の旗は出せない」などと強硬だ。そこで同氏は「これは旗ではなくシャツだ」と反論したのだが、最後は二人の兵士がやってきて「会場から排除する」と警告され、ついに要求に応じざるを得なくなった。

ブラジルはいつ民主主義を止めたのか。これではまるで中国と同様の専制国家だ。そうも言いたくなる出来事である。

その後クリフ氏は別の会場で、中華民国と米国の小旗を手にして米国の試合を観戦していると、中国人観客に絡まれ、散々罵られた揚句、中華民国旗を強奪された。

その中国人観客は野蛮だが、大会主催者もそんな民族に脅え、それと同質の非礼を働いたわけだ。

IOCやその傘下の各国五輪委がどれほど中国の圧力に屈服しているかが、これで充分理解できたと思う。


■台湾紙が「台湾と呼べ」と訴えー日本全国も呼応を

台湾の最大手紙自由時報は十二日の社説で、「台湾が五輪で受ける不平等な待遇は、中国がIOCに欠けた政治的圧力の悪しき結果だ」とした上で、「すでに人口の八割にも達している台湾にアイデンティティを持つ国民は、リオを契機に“台湾頑張れ”と叫んで行こう」と呼び掛けた(最近の世論調査で「自分は台湾人(中国人ではない)」との回答が八〇%に達している)。

何しろ台湾国内では、中国に繋がる一部の政治家やメディアなどの中華民族主義勢力が、「中華台北」(台湾ではチャイニーズタイペイをこう訳す)の呼称を盛んに使用し、国民を惑わしている。そして「中華台北」の「中華」は「中華民国」の略称だと勘違いさせられている台湾人がいかに多いことか。

そこで、それにたまりかねた自由時報はこのように訴えたのだろう。

同じく日本でも、中華民族主義者とは言わないが、中国迎合のメディアや事勿れ主義のスポーツ関連団体が「チャイニーズタイペイ」などと呼称し続け、そのため一般国民もそうした誤った呼称に違和感が持てなくなっている。

そこで我々は日本全国に対し、「チャイニーズタイペイ」という呼称を止めよう、止めさせようと訴えたい。

これを用いることは台湾の尊厳を傷つけ、台湾国民を侮辱し、ただただ中国覇権主義を喜ばせるものであり、そしてこれはまた「スポーツへの政治の持ち込み」に他ならないということを、二〇二〇年の東京五輪開幕までに「国民の常識」といえるまでにしなければと考えるが、どうだろうか。

他国のことはいざ知らず、良識ある日本人ならそれはできると思うのだが…。